境内案内
西賀茂観音
『日本一を誇る十一面観音菩薩像』
四条大宮の地より移転十年目を迎え、その記念事業として十一面観音菩薩を建立しました。石は愛知県額田郡より切り出し、住職、彫刻師、関係者等立ち合いのもとに厳選をしました。彫刻は、十一面観音菩彫刻師として名高い江本幸二氏による一刀彫りです。総高約十メートル、国産原石の十一面観音像としては日本一の高さを誇ります。観音菩薩は、阿弥陀如来の脇仏として大慈悲を持って衆生の苦悩を除く菩薩で、数ある菩薩の中で最も広く崇拝されています。
十一面観音菩薩は、六観音(聖、千手、馬頭、十一面、 不空羂索、如意輪)の中でも特に人々の願い事を聞き入れてくださる菩薩として古くから日本でも信仰されています。
頭の宝冠の正面には、阿弥陀如来の化仏を、左右には慈悲と憤怒のお顔を、後方は大爆笑といわれる歓喜のお顔、そして頂には、悟りを得たお顔があしらわれております。頭に十のお顔があるのは、仏になるための修行の段階の十地と、人間の心である喜怒哀楽を表しております。
十地の最終段階を法雲地といい、広大無辺の功徳を有し、衆生の為に大慈悲の雲となる位をいいます。 当寺が法雲寺というのはこの由来からきています。
頂の悟りのお顔が法雲地です。右手が長いのは、迷える衆生を救う為に優しく差し伸べてくださる慈悲の形を表しています。左手に持たれている蓮華は衆生が本来有する仏の種(仏性)を表し、蓮華が蕾なのは、その仏の種が煩悩に汚されず、今まさに開花すべき事を表しています。十一面観音菩薩は、あらゆる方向を見つめ、常に苦しんでいる衆生を見つけては、救いの手を差し伸べてくださる菩薩です。「オンマカキャロ二キャソワカ」とご真言を唱えれば、苦しみは消え、どんな願いも叶えられ、喜びから大爆笑、そして悟りへと導いてくださると言われています。
子養育地蔵菩薩
当山地蔵堂に安置されております地蔵菩薩は、 もともとは総本山誓願寺塔頭十八院の内の江岸院地蔵堂にまつられていました。ところが1788年に起こった天明の大火で、江岸院はもとより誓願寺も焼失してしまいました。御本尊や他の仏像は、早くから近くの鴨川に運び出されており、無事に難を免れましたが、江岸院は再建のめどがたたず廃寺となり、誓願寺もその後20年間も再建されませんでした。誓願寺は豊臣家の一族の心のよりどころになっており、当寺が秀吉の母の寄進を受けて建てられたお寺などのご縁により、当寺に安置されるようになりました。
「いとけなき童のために父となり母ともなりて救うみ仏」
いとけなきとはあどけない、子供っぽいという意味。あどけないとは無邪気でかわいい。ですのでこの御詠歌の意味には、無邪気で可愛い子供のために父となり母にもなって子供たちを救ってくださるという意味がございます。洛陽地蔵菩薩霊場(全48霊場)の内第29番霊場の御詠歌でうたわれおり、およそ500年もの間、子供の無事や成長を願い、また水子の供養など常に人々の心のよりどころとして信仰されてきた由緒あるお地蔵様です。